+スカーフのこと
古いものは好きだが、古着は苦手だった。
古着はお洒落上級者のものと思っていた。
今でもそう思う。
でも近頃は、そんなお店を覗くのが楽しみになっている。
寒がりな母の誕生日プレゼントに、スカーフがいいと思ったのは最近である。
もう誕生日を迎えてから、かなり日数は経過していた。
タイミングよく、気に入っている古着のお店のブログが更新された。
1950年代のスカーフの入荷情報だった。
夕方仕事を終えて電車に乗り、店に向かう。
店内には思っていたよりも多くのスカーフが並んでいた。
どれも優しい。
古いものには独特の美しい色がある。
着物もそうだが、今では再現できない色も多い。
控えめでありつつも、ちょっと遊べそうなスカーフを見つけた。
手触りもしっとりとしていて質が良さそうだ。
すっかり満足して、私は腹ペコで近くのカフェに向かう。
仕事を終えたサラリーマンやOLさんが、帰宅する前にぷらっと立ち寄って
お酒をキュッと一杯ひっかけて行くようなカフェ。
私はアイスラテを注文した。
皆そこでは、一日の疲れを一人になって癒しているようで
なんだか妙に居心地が良かった。