Drink more coffee.

くろくてにがいのみものナリ。

+スカーフのこと

古いものは好きだが、古着は苦手だった。

古着はお洒落上級者のものと思っていた。

今でもそう思う。

でも近頃は、そんなお店を覗くのが楽しみになっている。

寒がりな母の誕生日プレゼントに、スカーフがいいと思ったのは最近である。

もう誕生日を迎えてから、かなり日数は経過していた。

タイミングよく、気に入っている古着のお店のブログが更新された。

1950年代のスカーフの入荷情報だった。

夕方仕事を終えて電車に乗り、店に向かう。

店内には思っていたよりも多くのスカーフが並んでいた。

どれも優しい。

古いものには独特の美しい色がある。

着物もそうだが、今では再現できない色も多い。

控えめでありつつも、ちょっと遊べそうなスカーフを見つけた。

手触りもしっとりとしていて質が良さそうだ。

すっかり満足して、私は腹ペコで近くのカフェに向かう。

仕事を終えたサラリーマンやOLさんが、帰宅する前にぷらっと立ち寄って

お酒をキュッと一杯ひっかけて行くようなカフェ。

私はアイスラテを注文した。

皆そこでは、一日の疲れを一人になって癒しているようで

なんだか妙に居心地が良かった。

f:id:coffee_okawari:20161204195744j:plain

 

+小道具のこと

コーヒーに興味を持ってから、

時々思い出したように食器棚を開けて

「そうそう!これこれ!」と取り出す小道具たち。

まさかコーヒー生活に必要になるなんて、当時は思いもせず、

可愛いとか、懐かしいとかの気持ちで手に入れたもの。

大半は、亡くなった祖父の家で私が一人暮らしを始めた時に見つけた。

普段は質素な生活をしていた祖父だが、割とこだわりがある人で

年老いてからも、自分の趣味の買い物をするときはお洒落をして、

特急電車ではるばる二時間以上かけて札幌の街まで出かけていた。

私なんかよりもよっぽど日本全国を旅していた。

質の良いものを残してくれた祖父のおかげで、今も現役で使える道具がたくさんある。

写真のミルクポットは最近古道具屋さんで見つけたもの。

祖父から受け継いだものではないけれど、これと同じメーカーのコーヒーポットを祖父は所有していた。

そのコーヒーポットは現在母が愛用中。

親子三代で使えるように、「大切に使ってね」と私は母にお願いしている。

f:id:coffee_okawari:20161123131402j:plain

+香りの効能のこと

最近何かと宿題が多くそわそわと落ち着かない気分の中、

気になる本を見つけて読んでいる。

数年前から、大きな音や人混みが苦手で

ピリピリと神経が張りつめて、ヘトヘトになってしまうくらい疲労感を感じていた。

帰宅しひとまず一人になって、静かな部屋で眠らないと体力が続かないのだ。

仕事の後も然り。

いつからこんなに軟弱になってしまったんだ。

一体どうしたらいいのだ。

と気になっていたのだけれど

その答えがどうやら本の中に見つかったようだ。

周囲からの刺激を断つ方法として

「好きな感覚を取り入れること」とある。

自分の気持ちを落ち着かせる大切な感覚ってなんだろう。

やっぱりコーヒーの香り?

豆を挽いている時に漂う香りが高ぶった神経をすっと優しく宥めてくれる。

あぁいい匂い。幸せ♡というあの感覚が私にはどうしても必要だった。

だから今、

私はコーヒーの時間をこんなに大切に思うのだ。

きっとね。

f:id:coffee_okawari:20161112130830j:plain

+小辭林のこと

一年ほど前に、時々遊びに行く古道具屋さんで

古い小辭林を見つけた。

発行は昭和三年。

手のひらにほどよく収まる大きさと、

今となっては非常に読みにくい旧仮名遣いが気に入った。

先日ふと思い出して「珈琲」の単語を調べてみたが掲載されておらず。

あら残念。

念のため「コーヒー」とか「こおひい」なども探してみたがやはり無し。

それならばと「喫茶店」の頁を探す。

ちなみに「きっちゃてん」で載っていた。

どれどれ。

「茶菓を供する輕便なる店」だそうだ。

なんて簡潔。確かにそうだが、説明はこれだけ。

「輕便」てなんだ?

「てがるにして便利なること」

なるほど。

必要最低限の内容で書かれているこの辞典。

最後の単語は「をんな」で締めくくられる。

【小辭林 終】と書かれた最終頁を何気なくめくって、私は少し驚いた。

そこにはわざわざ1ページを割いて歌が記載されていた。

 

春の花のあした、秋の月のゆふべ、おもひをのべ、

心をうごかさずといふことなし、

ある時には糸竹のしらべをととのへ、

ある時には大和もろこしの歌ことばをあらそふ、

敷島のみちのさかりにおこりて、

心の泉古よりも深く、

辭の林昔よりもしげし

千載和歌集序)

 

この小辭林がこんなに美しく豊かであったことを

私は今の今まで、知らなかった。

f:id:coffee_okawari:20161107124735j:plain

+コーヒーと11月

あっという間に11月になるという…

あな恐ろしや。

日々考えることはあっても、なかなか文章にする気合がわかず。

毎日何を考えて過ごしているのかと思い返せば

ほとんどが仕事のこと。

仕事の内容についての考え事ならば大歓迎だが

それを取り巻くざわざわとした、周囲から漏れ伝わる音や声。

自分の気持ちもそれに左右されながら、頼りなくふらふらと歩いたりしゃがみこんだりを繰り返す。

そしてふと、時間が空くとコーヒーを思い出す。

「帰ったら、美味しいコーヒーを淹れよう」

ぬくぬくとストーブの前に陣取って。

誰にも邪魔されない、自分だけの、温かいコーヒーの時間。

今日もご馳走様でした。

f:id:coffee_okawari:20161105132111j:plain

+コーヒー教室のこと

先日、私の大好きなカフェ「森彦」の

コーヒー教室に参加することができた。

と言っても、

デパートの催事でのワークショップだったので

一時間と時間は短い。

恐る恐る予約の電話をしてみると

「まだ余裕がございます」とのこと。

ホッと胸をなでおろす。

家でも再現できるようにポットを持参してほしいとのことだったので

月兎印を手拭いに包んで持って行った。

ドキドキ…

ダメだ。汗が噴き出す。恥ずかしい。

「コーヒーの基本」というプリントが会場には用意されていて

森彦のコーヒーの淹れ方がわかりやすく事細かに書かれている。

こんなことまで教えてもらっていいのかしら?

なんだか企業秘密を知ってしまったようで落ち着かない。

お店の方が実際にコーヒーを淹れてくれた。

同様に私も淹れる。

条件は変わらないのに、味の差が歴然としている。

あたりまえか。

何よりも、コクが違う。

私のものはあっという間に消えてしまう。

しかしスタッフの方が淹れると、口内にどっしりと長く余韻が残るのだ。

かつ、ほんのり甘味を感じさせながら。

なんという高等テクニック!!

直接アドバイスもしてくれるし、私達の淹れたコーヒーの感想を

率直に言ってくださるのもありがたい。

今までわからなかったこと、曖昧なままなんとなくやってきたこと、

頭の中でバラバラになっていたそれら全てが目の前で綺麗に繋がり、

はっきりと一つの道になったような晴れやかな気分。

こうしちゃいられない。

早めに帰宅して自主練をしなければなるまい。

でもでも、ドリッパーの違いも無視できないかも…と悪あがき。

教室で使用したものと同じドリッパー(数百円)を

大丸のポイントで購入し急いで我が家へ。

私の淹れたコーヒーの香りは格段に良くなった。

鼻の中を爽やかに通り抜け、香りも持続する。

大・満足。

早速コーヒー日記に新たなページを書き加えよう。

f:id:coffee_okawari:20161011231132j:plain

 

 

+コーヒー日記のこと

コーヒー日記を付けることにした。

コーヒーを飲んだ日に

その時感じた風味や豆の香り

一緒に食べたもの

頭の中で考えていたことなどを

自分の言葉で表現できるように。

コーヒーをゆっくり舌で味わえるように。

ブログやインスタで、

コーヒーが好き♡と言ってみても

それだけでは自分のコーヒーの幅が広がらない。

スタバのコーヒーセミナーで、バリスタさんが言っていたことを思い出す。

「自分の言葉で言い表せるようになると

もっとコーヒー生活が楽しくなりますよ」

日記用のノートは知人からもらった古い音楽帳。

良い具合に紙も枯れて書きやすい。

コーヒー豆を選ぶところから始まり

日記を書き終えて頁を閉じるまでの

朝の少し長めの大切な時間。

f:id:coffee_okawari:20161005132437j:plain